Hatena::Groupuntitled

DocSeriの日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2013-09-08

現代ホラーのつくりかた 現代ホラーのつくりかた - DocSeriの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 現代ホラーのつくりかた - DocSeriの日記 現代ホラーのつくりかた - DocSeriの日記 のブックマークコメント

「インセイン」はサイコロフィクションでも群を抜いてキャラ作成の軽いシステムだが、半面GMの準備は軽くない。

そもそも、ホラーの文脈は独特だ。他のRPGと違って「敵を倒して解決する」わけではない。それどころか倒す手段があるのかどうかすら定かではない。それでも何らかの解決を見なければ終わりが来ない。

シナリオ舞台

どんな場所でも良いが、怪異の入り込む余地のある場所が望ましい。都会ならば雑然と廃物の散乱する繁華街路地裏、郊外ならば廃病院地方ならば鬱蒼とした森、そういった「得体の知れぬものが潜んでいる暗がり」がある場所こそが相応しい。

また、場合によっては逃げ場のない閉鎖的環境を設定するのもいいだろう。

怪異

怪異とは本来理不尽ものであり、PCがその対象となったことに特段の理由はないのかも知れないが、物語としては何らかの納得行く理由が必要になるし、また理由がなければ解決もできない。従って、ゲーム上は怪異発生の理由、PCがその対象となった理由が必要となる。

ただし、これは当初からPCに明かすべきものではない。その理由を突き止め、怪異を鎮める……あるいは自分の身に振りかからぬよう回避することがゲーム目的となるわけで、理由は「必須の秘匿情報」ということになる。

また、怪異が発生させる現象を複数考えておくのも重要だ。現象が分散することで中心が見え難くなり、調査すべき範囲が広がる。

場所怪異

土地にまつわる因縁、知られざる異界への門、龍脈……場所が要因となって発生するタイプ怪異

PCが何もしなくても影響を及ぼす半面、その場所から逃げてしまえば基本的に影響を受けなくなる。

家族など「逃げられない理由」を用意する、あるいは怪異によって「呼ばれる」ようにするといいだろう。

主な怪異の原因が異形にある場合でも、異形の活動が場所に縛られる場合はこちらに分類できるため、実質的には非常に応用範囲が広い。

異形型怪異

彷徨える異形を中心とした怪異。異形は何らかの摂理に従い行動しているが、その目的は伺い知れない。

場所に縛られないため逃げることは難しいが、倒すことができれば解決する可能性がある。

土地型よりも不条理になりがちで、名状し難い恐怖の演出に最適な半面、打破が容易であれば恐怖とはなり得ず、逆に困難であれば絶望するしかなく、結果としてPCが行動目的を見失う場合がある。

異形型では伝承などの調査からその対処方法を探るのがシナリオの主眼となるだろう。

変容型怪異

自身の血脈、ヨモツヘグイの摂取、異形の寄生……PCの身が影響を受けるタイプ怪異

タイムリミットがあり、逃げることができない点では恐怖の演出的にも行動目的としても使い易いが、解決が難しい。セッション終了時の描写として「恐怖がまだ続く」ことを匂わせるように使うのが無難かも知れない。

もしくはPC自身ではなく家族など絆の深いNPCを対象にする方法もある。

変容の抑制あるいは防止が主要な目的となるが、病気のようなものではなくあくまで怪異である以上は原因を変容そのものではなく別に求めざるを得ず、結果としては場所型や異形型へシフトすることが多い。

夢の中で遭遇する怪。異常に理不尽で、物理的制約を悠々と無視してくる。そして眠りの度に、不可避的に訪れる。

逃れられぬ恐怖感は非常に有効性が高いが、一方で対処が難しいため、演出としての運用に留め場所型や異形型へシフトするのが妥当だろう。

シナリオパターン
「発生し続ける怪異
土地にある何らかの因子が怪異を発生させている。これを封印しない限り影響は続くだろう。
「異界から脱出
迷い込んだ先は異界だった。出口を見付けて帰還せねばならない。
「招かれざる客」
から異形を呼び込んでしまった。どうにかして元の世界に帰し、門を封じねばならない。
「光る水」
あの不思議な沢水を飲んで以来、深いところから呼ばれる夢を繰り返し見る。

導入

最初に描くべきは、PC怪異との接点である。「ただの一般人であるPC怪異存在を知らしめ、またその解決のための動機を与えるシーンだ。

只ならぬ雰囲気場所超自然存在の目撃。そうした描写と恐怖判定で怪異を印象付けると共に、犠牲者を作ると良いだろう。

これは怪異が致命的なものであることを知らしめ、また既に他人事でないと認識させるためだ。PC家族や近しい知り合いなどが明らかに怪異の影響下で絶命もしくは失踪し、何らかのメッセージを残す。そして自分の身にもそれが迫りつつある。残された手掛かりを手繰り、なんとかして怪異を解決せねばならない。

遭遇は全員一緒であると面倒がないが、そうでなければ個別の現象を描写することになる。その時にも、怪異現象の分散が役立つ。

秘密

秘密の設定こそはサイコロフィクションの中核を為す、シノビガミ=マギカロギア=インセインと連なるシリーズ共通の要素である。表向きの使命とは別の情報を持たせることができ、シナリオ構造に深みを持たせるものだが、他のゲームにはない要素だけに些か扱いが難しい。

シノビガミなどと異なり明確な勢力への帰属設定がないインセインでは、(少なくとも表向きは)PC同士に敵対の理由がない。とりわけ同じ怪異に遭遇し、等しく命を危険晒している状況では、協力して行動するのが自然の流れではある。

敵対関係を作りたいのであれば、一部PC秘密に「実は怪異信仰している」「実は怪異を呼び出したのはあなた」などを設定することは可能だが、序盤に秘密が調査されてしまった場合ストーリーが早期に収束しかねないので、その対処は考えておく必要がある。

敵対要素を放り込みつつ収束を遅らせたいのであれば、プライズを利用する方法が考えられる。(インセインのルール上は特に規定がないが)シノビガミルールに倣えばプライズにも秘密を設定可能であり、例えば「所有者の使命を上書きする」ような秘密を持たせることによって「プライズを得ている人だけが敵対的に行動する」ようなシナリオを作ることもできるだろう。

調査情報

ルール上の制約は特にないが、情報リプレイに倣いロック解除方式を採用するのが良いだろう。できることが多過ぎるとPLにもGMにも混乱を招くし、ひとつ情報から新たな手掛かりを得る過程物語を生む。

例えば犠牲者の遺族に話を聞くことで携帯電話を入手し連絡先を増やしたり、職場の同僚から取引先や付き合いのある人物のことを知ったり、自室に残されたパソコンから最近調べていたことを突き止めたり。

最初に提示される手掛かりと、調査の結果解放される新たな手掛りの流れを図にしておくと管理やすい。

調査箇所数は、増やしすぎると秘密の取り零しが多くなる。調査判定は任意の特技で可能だが、5+の成功率は30/36、つまり10%弱の失敗がある計算になる。例えば4人×3サイクルでは最大12回の判定が行なわれるが、成功数は10程度になるはずだ。

情報の取り零しが増えるとシナリオの解決が難しくなるので、PC秘密+シナリオ上の秘密を合わせて最大取得可能数の1.5倍程度に収めるのが良い。基本的には主要登場人物あたり1つの秘密存在するが、他に場所や物品に対する秘密の設定の可能なので、どう配分するかがポイントだ。

また狂気が増える罠情報や他の選択肢が増えない袋小路は1〜2割度に抑えるべきだ。外れが多くなると手詰まり感が出てプレイが停滞しかねないし、罠に萎縮して調査が敬遠されてしまう可能性もある。

恐怖の描写と恐怖判定

秘密情報の調査による狂気増加は控え目にすべきだが、シーン中の恐怖判定箇所は積極的に仕掛けていきたい。罠情報と違い「調べたらアウト」ではなく判定による回避が可能なので、よほど運が悪くない限りは破滅的なことにはならない。調査シーンのうち半分程度、およびマスターシーンはどんどん恐怖シーンを入れて判定を要請しよう。

できれば各調査箇所には予め描写と恐怖判定に使用する特技、及び「好奇心ジャンルを書いておくと進行がスムーズになるだろう。

マスターシーンは可能ならばPCそれぞれに「弱いところ」を揺さぶるような描写(プレイヤーの苦手意識を刺激するのでもいいし、PC家族などを標的にするのでもいい)があると盛り上がるが、少なからアドリブを要求されることにもなるので、予め誰に適用しても大丈夫そうな描写を考えておくと安定してマスタリングできる。

ここでも、怪異を設定する段階で考えた現象の分散が役立つ。

秘密の取り扱い

これについてもルール上の規定もガイドラインもないのだが、秘密に於ける「拡散情報かどうか」及び「恐怖判定とショックの扱い」について。

拡散情報は「全プレイヤーに見せてよい」情報である。これは文献資料など物理的に共有しやす情報の他、「他人に話せる」情報と考えるとよいだろう。

対して拡散させない秘密は体験的な情報、とりわけトラウマめいたものを含む場合。「容易に他人に話せない」もの秘密として扱うべきだ。

サイクル数

ルール上の制限はないが、あまりサイクル数を多くしない方が良いだろう。長いシナリオになると途中でそれなりの動きがないと中弛みする。それなら途中の変化をひとつクライマックスとして一度シナリオを切り、しかし状況としては完全解決には至っていないとして次のシナリオに続けるショートキャンペーン方式にした方がいい。

またルール上、狂気を人数×サイクル数用意することになっているが、標準で使われる狂気24種類、つまり6サイクルが限度。まあ同じ狂気を複数入れることもできるから必ずしもその数に縛られる理由はないものの、長くなると蓄積する狂気の数が増え、連鎖発現の可能性も高まって後半で破綻やすくなる。だいたい3〜4サイクル程度に留めるのが無難だと思われる。

また、マスターシーン数から考えると、まず導入シーンで全員分のマスターシーンを行ない、その後は1サイクルに1シーンを描写することになるが、そこでPCごとの恐怖シーンを描写してゆくのであればプレイヤー人数と同じ回数のマスターシーンが欲しいところだ。各サイクル終了時に1シーン、クライマックス終了後にエンドシーンを挟むとすればサイクル数はPC数-1回ぐらいが適当だろうか。

クライマックス

最後は大体の場合怪異との対決」の形を取ることになるだろうと思われる。もちろん、直接戦闘だけではなく拠り所の破壊封印装置の起動など、対決の方法は様々だが、基本的には「事件の終息」を以てセッションの終わりとするのがひとつの望ましい形だ(あるいは、PC全員の破滅と、来るべき災厄の広がりの予感)。

事件は終息したが、後日談では是非とも「続く怪異の予感」を織り交ぜ、恐怖の余韻を残したい。